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令和2年度教育長演述


 令和2年2月21日の令和2年市議会第1回定例会本会議において、教育委員会の小松教育長は、令和2年度における教育行政施策について所信の演述を行いました。

 以下、その内容をお知らせします。

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 令和2年市議会第1回定例会の開会にあたり、教育行政施策について所信を申し述べさせていただきますので、議員各位を始め、市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
 はじめに、東日本大震災から9年の歳月が経過しようとしておりますが、震災でお亡くなりになられた方々に対し、改めて深く哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
  さて、本市では、令和2年度が最終年度となる大船渡市復興計画の推進と並行して、人口減少社会の到来や少子高齢化の進行、国際化・情報化の急速な進展、価値観の多様化への対応など、諸課題の克服に向けて、各般にわたるさまざまな施策が鋭意展開されております。
 こうした中、市民がいきいきと暮らし、一人ひとりがお互いを認め合う社会の実現や、これからのまちづくりを支える多彩な人材の育成、ひいては持続可能なまちの創造を図るうえで、教育が担う役割は大きく、令和という新たな時代を迎えて、その重要性は一層高まっております。
 このようなことから、令和2年度におきましては、「復興を支え、確かな未来を築く人づくり」を目指すとして、大船渡市教育大綱に掲げている「子どもたちの生きる力をしっかりと育みます」、「ともに思いやり、支え合う心を育みます」、そして「地方創生に資する創造的な人材を育てます」の三つの重点的な取組方針を基本に、市長部局との一層の連携を図りながら、本市教育行政を推進してまいります。

  以下、大船渡市教育振興基本計画に掲げる5つの施策に沿って、令和2年度の主要な施策について申し上げます。
 

 第1に、「生涯学習の推進」についてであります。
 経済の成長、長寿社会の到来、余暇時間の増大などを背景として、心の豊かさや生きがいを求めつつ、社会変化に対応して、よりよく生きるとともに、住民主体のまちづくりを促すうえで、生涯学習の重要性が高まっており、あらゆる世代への多様な学習機会の充実を図っていくことが重要であります。
 このことから、市民の生涯学習活動につきましては、市のホームページや広報紙を通じて、市内各施設・団体等が開催する各種行事や学習情報などについて周知・啓発を図るとともに、「生涯学習推進のつどい」や市民講座、各種研修会の開催などを通じて、市民の学習意欲の向上と主体的な学習活動の促進に努めてまいります。
 特にも、今日の国際化の進展に対応して、市民の国際感覚の醸成と外国人とのコミュニケーション能力の向上を目指し、引き続き、就学前児童から一般成人までを対象とした英語スクールや英会話講座の開催に取り組んでまいります。
 各地区における生涯学習や社会教育、コミュニティの活動拠点である地区公民館につきましては、生活に役立つ知識を始め、文化・教養に関する多様な学習機会の提供などにより、地域コミュニティの醸成や活性化に資する取組を推進するとともに、施設については、大船渡地区公民館の空調設備設置を始め、必要な改修や修繕を行いながら、適切な維持管理に努めてまいります。
 芸術文化の振興につきましては、関係団体と密接に連携して、市民芸術祭を始め、日頃の創作活動の成果発表や芸術鑑賞の機会を広く提供しながら、市民が芸術文化を日常的に身近なものとして楽しみ、地域に 根ざして自発的に活動できるよう、支援してまいります。
 また、市内の小学生を対象に、優れた舞台芸術の鑑賞機会を提供し、児童の感性と想像力を育み、豊かな情操を培うよう、努めてまいります。
 博物館につきましては、「調査・研究」、「収集・保管」、「展示・普及」という三つの機能の充実に努めるとともに、体験学習会や自然観察会、小学6年生を対象とした「博物館スクール」の開催、気仙管内の教員を対象とした「教員のための博物館の日」の実施、チリ地震津波や東日本大震災に関する展示などを通じて、博物館の魅力を発信しながら、一層の利用促進を図ってまいります。
 また、荷解き室等に空調設備を設置するとともに、燻蒸室や資料を保管している倉庫等に収蔵棚を設置するなど、一層の機能向上と適切な資料の管理・保存に努めてまいります。
 

 第2に、「学校教育の充実」についてであります。
 国際化や情報化など、社会が目まぐるしく、かつ、急速に変化している今日、教育においては、時代を超えて変わらない価値のあるものをしっかりと身につける不易と、時代の変化とともに柔軟に変えていく流行への 適切な対応が求められております。
 この「教育の不易と流行」を見極めながら、自ら学び、豊かな心を持ち、心身ともにたくましく生きる児童・生徒の育成に取り組んでまいります。
 いよいよ本年4月から、小学校の新学習指導要領が全面実施となります。
 今回の改訂では、知識の理解の質を高めるため、「主体的・対話的で深い学び」について「何ができるようになるか」を明らかにし、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質と能力を育むことを目指すとしております。
 具体的に、「確かな学力の保障」に向けて、児童・生徒個々の学力を学力調査などにより的確に把握し、ねらいを明確にした授業を実践し、児童・生徒の学力向上に努めるとともに、授業交流会を始め、教員の指導力向上を目指した研修機会を充実し、組織的な取組を強化しながら、教員の指導力の向上を図ってまいります。
 小学校においては、3・4年生で外国語活動が、5・6年生で外国語科が始まります。
 このため、引き続き、小・中学校に外国語指導助手5名を派遣し、教員の外国語指導を支援するとともに、児童・生徒の学習意欲を喚起し、国際理解を深める機会の拡充と、コミュニケーション能力の育成を図ってまいります。
 また、中学生については、実用英語技能検定料の補助により、学習活動の一環として、英検取得を目標に取り組む環境をつくり、生徒の英語力の向上を図ってまいります。
 さらに、小学校においては、コンピューターのプログラミング体験を通して、論理的思考力を育むプログラミング教育が始まることから、教材の整備とともに教員の研修を行ってまいります。
 特別な教育的支援が必要な児童・生徒への指導につきましては、在籍校への支援員の配置などを通じて、それぞれの個性に応じた適切な対応に努めてまいります。
 児童・生徒の豊かな心の育成につきましては、道徳教育やキャリア教育、体験活動、読書活動、郷土芸能の伝承活動、さらには、地域や支援団体、他の学校との交流やボランティア活動などを通して、郷土愛や感動する心、命の大切さ、他人を思いやる心の醸成を図ってまいります。
 いじめの未然防止や学校不適応対策につきましては、児童・生徒への学校生活アンケートの実施を始め、教育相談員や心の教室相談員の配置、スクールカウンセラー、さらには、学校と家庭、関係機関をつなぐスクールソーシャルワーカーによる巡回相談などにより、心のケアを必要とする児童・生徒や教職員、保護者の早期発見と早期対応を図ってまいります。
 また、「大船渡市いじめ防止等基本方針」に基づき、「大船渡市いじめ問題対策連絡協議会」において関係機関・団体との情報共有を図りながら、必要な対策を講じてまいります。
 低所得世帯に対する就学支援につきましては、給食費や学用品費などを補助し、そのうち入学に要する費用は事前に実施してまいります。
 通学支援につきましては、遠距離通学や各種工事による交通事情の変化などを考慮し、スクールバスの運行や通学費の補助を継続してまいります。
 スクールバスの運行にあたりましては、児童生徒の安全を最優先とした体制及び車両整備等に意を配するとともに、新たに日頃市地区、越喜来地区、吉浜地区から第一中学校への運行を実施いたします。
 また、そのほかの統合予定校におきましても、各学校やPTAとの間で遠距離通学支援について協議を進めるとともに、学校間の計画的な交流事業の実施を支援してまいります。
 さらに、児童・生徒の登・下校時の安全を確保するため、庁内関係部署や関係機関と連携を図るとともに、学校安全ボランティアであるスクールガードを継続して配置してまいります。
 学校給食につきましては、北部学校給食センターを中心に、各学校給食共同調理場を効率的に運営し、安全・安心な給食の提供と、食育の推進に努めてまいります。
 学校給食費の徴収につきましては、学校給食事業の安定的運営に資するため、未納・滞納対策として、電話催告や文書督促、家庭訪問などを適宜行うとともに、各学校と連携しながら計画的な納付を促してまいります。
 学校施設につきましては、各学校からの要望を踏まえながら、安心・安全の確保を第一に、施設の老朽化に対応し、綾里小学校体育館の床等改修工事を実施するなど、適切な維持管理、修繕等に努めるとともに、第一中学校の校舎及び屋内運動場の改築に向けた設計に取り組んでまいります。
 教職員の長時間労働の改善につきましては、中学校への部活動指導員の配置とともに、「大船渡市立小・中学校教職員多忙化解消対策会議」を中心に、教職員の勤務時間の適正管理など実効性のある対策を行いながら、教職員の働き方改革に取り組んでまいります。
 学校統合につきましては、本年4月の日頃市中学校、越喜来中学校及び吉浜中学校の第一中学校への統合が円滑に行われ、生徒が安心して学校生活を送れるように関係者が連携して支援を行うとともに、引き続き「大船渡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」に基づき、統合に向けた関係者との協議などを進めてまいります。
 

 第3に、「青少年健全育成の推進」についてであります。
 現代においては、少子高齢化や核家族化、価値観の多様化、地域社会の連帯感の希薄化など、青少年を取り巻く環境も大きく変化しており、こうした中にあって、次代を担う青少年が、心身ともに健やかにたくましく成長することは、市民すべての願いであります。
 このため、青少年の健全育成を図るためには、家庭や学校にとどまらず、日常生活のあらゆる場において、規律ある生活規範を身に付けさせるとともに、自分と他者の価値をともに尊重し、相手を思いやる心の醸成を図ることが重要であり、地域社会全体で成長を支えていく環境づくりが肝要であります。
 このことから、家庭教育学級の開催などにより、保護者が子育てやしつけについて学ぶ機会を提供するとともに、小・中学校、PTA、地域住民の方々などのご理解とご協力により、教育振興運動や青少年体験学習事業などの活動を通じて、子どもたちが充実した経験を積み重ね、社会を生き抜く力を培うように取り組んでまいります。
 

 第4に、「スポーツ・レクリエーションの振興」についてであります。
 スポーツ・レクリエーションは、人生を豊かにし、充実したものにするとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであることから、生涯にわたりスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有するものであります。
 今日、体力づくり・健康づくりへの関心の高まりに加え、本年夏に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることから、市民のスポーツに対する関心や期待が一層高まるとともに、交流人口の拡大や、地域コミュニティの促進など、スポーツが果たす役割はますます大きくなってきております。
 このことから、市民が気軽にスポーツ・レクリエーションに親しむ機会として、子どもから高齢者まで、それぞれのライフステージに応じて主体的にスポーツ活動を楽しむことができるよう、ニュースポーツフェスティバルや高齢者スポーツ交流大会など、各種スポーツ大会等を開催してまいります。
 また、一般財団法人大船渡市体育協会を始め、関係団体等との連携により、大船渡新春四大マラソン大会や大船渡ポートサイドバレーボール大会など、市内外から集客力のある各種大会を引き続き開催し、競技力の向上はもとより、交流人口の拡大に努めてまいります。
 さらに、スポーツ合宿誘致相談会を始め、県内の自治体や関係機関・団体からなる「いわてスポーツコミッション」の主催事業に積極的に参加するとともに、一般財団法人大船渡市体育協会や市内の関係団体等と連携を図りながら、各種スポーツイベントやスポーツ合宿の誘致、国内外への情報発信などに鋭意取り組んでまいります。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、聖火リレーが本年3月26日に福島県を出発し、121日間にわたって日本全国を回ることとなっており、本市においても6月に行われることから、関係機関・団体のご理解とご協力、多くの市民の皆様の参画をいただきながら鋭意取組を進め、聖火リレーの盛り上がりとともに大会成功に向けた機運醸成に努めてまいります。
 さらに、「復興『ありがとう』ホストタウン」の一員として、アメリカ合衆国を相手国とし、スポーツ交流はもとより、ジャズコンサートの開催などの芸術文化事業も実施するなど、関係者を始め、多くの市民の皆様のご理解と参画をいただきながら、競技大会終了後を見据えた幅広い国際交流につなげてまいります。
 スポーツ施設につきましては、市営球場をはじめ、市民体育館や小・中学校の屋内運動場、人工芝化した赤崎グラウンドなど、既存施設の適切な維持管理と機能の充実に努めながら、なお一層の利用促進を図ってまいります。
 また、今後のスポーツ施設整備のあり方などについて、大船渡市総合計画や大船渡市公共施設等総合管理計画等との整合を図るとともに、外部の有識者等からご意見をいただきながら「大船渡市スポーツ施設整備基本計画」の策定を進めてまいります。

 
 第5に、「地域の歴史・文化資源の継承」についてであります。
 恵まれた自然や風土、郷土の歴史・文化の素晴らしさを再認識し、市民一人ひとりが、地域を愛し、郷土への愛着と誇りを育み、心の拠りどころとなることが、本市の創造的復興を成し遂げる原動力となるものと考えております。
 本市には、有形・無形の国指定重要文化財を始め、県指定や市指定の貴重な文化財を数多く有していることから、大切な郷土の遺産・資源を次世代に継承していくため、三面椿はもとより、史跡・名勝・天然記念物など、指定文化財の適正な保護管理とその活用、郷土芸能団体等への支援や後継者育成に努めてまいります。
 また、被災者の住宅再建や復興関連事業等に伴う、埋蔵文化財包蔵地内の開発行為については、発掘調査を継続して実施するともに、その成果を報告書にまとめ、歴史遺産の記録・保存に取り組んでまいります。
 ユネスコ無形文化遺産「来訪神行事:仮面・仮装の神々」を構成する国指定重要無形民俗文化財「吉浜のスネカ」につきましては、引き続き「来訪神行事保存・振興全国協議会」の一員として、関係自治体と連携しながら、世界に誇れる地域行事の魅力を広く発信するとともに、保存会の意向を踏まえながら、保存・継承を支援してまいります。
 また、岩手県や三陸沿岸の自治体、関係団体・企業などにより設立された三陸国際芸術推進委員会の一員として、三陸国際芸術祭の開催や各種情報発信への支援などにより、多様な文化との交流を通して、本市の郷土芸能や芸術文化の魅力を国内外に発信してまいりたいと考えております。

 以上、本市の教育行政施策の概要を申し述べさせていただきましたが、令和2年度は、本市教育行政の基本となる大船渡市教育振興基本計画の計画期間が満了を迎えます。
 このため、上位計画であり同様に計画期間が終了する大船渡市総合計画の次期計画策定と調整を図りつつ、市議会を始め、市民の皆様のご意見を広くいただきながら、新たな大船渡市教育振興基本計画の策定に鋭意取り組んでまいる所存であります。
 また、令和2年度は、地域づくりと学びの連動を図り、学びの成果を具体的な実践活動や地域づくりに結びつけるため、生涯学習及び社会教育に関する事務を市長の補助機関である職員に補助執行させるなど、教育分野に加え、関連行政分野との一体的な施策展開を推進してまいります。

 議員各位並びに市民の皆様におかれましては、本市の更なる教育振興のためなお一層のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。