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近年、三陸縦貫自動車道の一部供用開始や幹線道路の改良による両市町間の時間・距離の短縮化等に伴い、通勤・通学圏をはじめ商圏、医療圏など、大船渡市と三陸町の結びつきは一層深まってきている。
今後、ますます多様化、高度化する住民ニーズに適切に対応し、住民福祉の一層の向上を図るため、生活圏の拡大に応じた広域的な観点からの行政サービスの展開や、重点的な投資による基盤整備の推進などが求められている。このことから、市町の枠組みを越えて相互に連携を深め協力し合い、効率的かつ効果的な行政運営を推進する必要がある。
平成12年5月、岩手県から「岩手県広域行政推進指針」が公表され、その中で、気仙地区において、(1)気仙2市2町の合併、(2)大船渡市と三陸町との合併の二つの案が示された。
その後、大船渡市と三陸町で、行政と議会双方において精力的に検討した結果、合併実現に向けた合意形成が図られるとともに、住民サイドから合併実現に向けた運動が展開されるなど、両市町が一体となった新しいまちづくりに対する住民の意識も日増しに高まっている。
都市間競争が激化する中で、両市町の合併により行財政基盤の強化を図り、大船渡市と三陸町の特徴を生かしながら、自然環境の保全に努め、生産・物流機能をはじめ、教育・文化、福祉、医療等に関する都市的サービス機能や行政機能、人・物・情報の交流機能、試験研究機能等を有機的に結合・集積し、一体となった都市整備を推進することにより、三陸沿岸地域の新たな拠点都市形成をめざすものである。
この計画は、大船渡市と三陸町との合併により、住民福祉の一層の向上を図るとともに、三陸沿岸地域の拠点都市形成をめざして策定する。
計画の範囲は、大船渡市と三陸町地域における根幹となるべき事業とし、計画期間は、平成14年度から平成23年度までとする。
気仙広域圏の行政、経済、教育・文化などの諸機能が集積し、中心的な役割を担ってきた大船渡市は、港湾機能の拡充や、三陸縦貫自動車道及び県内陸部の都市とを結ぶ幹線道路の整備に伴う利便性の向上により、単に海上交通と陸上交通の結節点にとどまらず、物流拠点機能の一層の強化、観光及び海洋性レクリエーションなど多彩な機能との有機的な連携を図ることにより、三陸沿岸地域における人と物の一大交流拠点としての飛躍が期待される。
また、三陸町は、自然との共生をまちづくりのキーワードとして掲げ、つくり育てる漁業及び資源管理型漁業と、森林や河川等の環境保全を一体的に推進しており、これからの水産業のあり方を考えるうえで先駆的な地域といえる。
そこで、気仙広域圏の中でも結びつきが強い大船渡市と三陸町は、それぞれの特性を生かし、
を新しいまちづくりの基本とし、広域的、総合的な観点に基づく各種事業の戦略的かつ重点的な展開により、経済、保健・福祉、教育・文化等の都市機能の更なる集積に努め、住民福祉の一層の向上を図るとともに、諸施策の実現により、三陸沿岸地域の新たな拠点都市にふさわしい個性と活力にあふれたまちづくりを推進する。
公共施設については、住民生活に急激な変化を及ぼさないよう十分配慮し、地域の特殊性やバランス、さらには財政事情等を考慮しながら、検討・整備していくことを基本とする。
大船渡市と三陸町との速やかな一体化を促進し、住民福祉の向上と地域の一層の発展を図るため、「建設の基本方針」に基づき、三陸沿岸地域の拠点都市の実現に向けて、それにふさわしいまちづくりの総合的、計画的な整備を積極的に進める。
そこで、以下において、各分野における開発整備の施策を掲げる。
※ ( )内は事業費
活力にあふれる産業活動と快適な住民生活を支えていくため、恵まれた自然と調和した産業・都市・生活環境等の基盤整備を図るとともに、防災施設の整備を進め、災害に強いまちづくりを推進する。
自然豊かな地域特性を生かし、農林水産業及び観光の振興を図るとともに、雇用環境の充実を図り、活力に満ちた地域産業づくりを進める。
少子高齢化の進展や多様な福祉ニーズに適切に対応し、だれもが安心して生きいきと暮らせる地域社会を築くため、保健・福祉の充実を図る。
住民の多種多様な学習ニーズに対応し、生涯を通じて主体的に学習できる社会を構築するため、教育・文化の充実及びスポーツの振興を図る。