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施政方針 1 豊かな市民生活を実現する産業の振興(令和6年度)


 産業振興につきましては、持続可能なまちづくりの根幹となりますことから、令和5年度を初年度とする大船渡市デジタル田園都市国家構想総合戦略の着実な推進を基本に、地場企業の振興はもとより、起業や第二創業などにチャレンジできる環境づくり、地域経済の成長を支えることができる人材の育成、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進による生産性の向上、若者の地元定着の促進など、各種施策を推進してまいります。

 国際リニアコライダー(ILC)につきましては、世界の研究者の間でILCの技術開発など研究が進められている中、市民のILCへの関心を高める取組が重要でありますことから、岩手県や関係自治体、ILC実現建設地域期成同盟会を始めとする関係団体などと連携しながら、機運醸成に係る取組を広域的かつ継続的に進めてまいります。
 また、早期の誘致・実現に向け、引き続き国への要望活動を実施するほか、東北ILC事業推進センターの取組に積極的に参画しながらILCの受入環境整備に係る検討を行ってまいります。
水産業につきましては、海洋環境の変化などによるサンマやサケなど主要魚種の記録的な不漁を始め、貝毒によるホタテガイの出荷規制の長期化、磯焼けの拡大や、漁業就業者の高齢化の進行などにより、水産加工業を始めとする関連産業を含め非常に厳しい状況にあります。
 こうしたことから、大船渡市水産業振興計画に基づき、水産業の持続的な発展に向け、各種取組の充実・強化を図ってまいります。

 持続可能な漁業の推進につきましては、水産資源を安定的に確保するため、科学的で合理的な水産資源の管理をより一層推進するよう国や関係機関に対して引き続き働き掛けてまいります。
 新たな課題といたしまして、昨年8月の東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水放出に伴う、一部の国や地域による日本産水産物の禁輸措置により、アワビ等の取引価格が下落するなどの影響への対応が求められており、引き続き県や関係団体等と連携しながら、国及び東京電力ホールディングス株式会社に対し必要な対策を講ずるよう求めてまいります。
 また、市内漁業協同組合などが行うアワビの増殖やサケ、ヒラメの放流など、つくり育てる漁業の推進を支援し、漁業資源の確保に努めてまいります。
 さらに、藻場の再生活動などの磯焼け対策や漁場海域の漂流・漂着ごみなどの回収、処理により、漁場環境の保全を図ってまいります。

 漁業経営の安定化対策につきましては、漁業者の所得向上や水産加工事業者の原材料確保等に資するため、市内漁業協同組合が行う新たな養殖種の実証試験に加え、当該生産物の販売促進などに対する支援を実施してまいります。
 また、引き続き市内漁業協同組合と連携しながら、新規漁業就業者に対する生活支援等を継続し、円滑な就業と定着を推進してまいります。

 漁港などの整備につきましては、防波堤修繕や船揚場改良などの適切な維持・管理を計画的に実施するほか、三陸町綾里地内におきまして、漁業集落道の整備に着手し、引き続き生活環境の基盤整備を推進してまいります。
 水産加工・流通機能の強化につきましては、大船渡市魚市場への漁船誘致活動を、より積極的に展開し、魚介類の安定供給を図るとともに、県が実施している魚市場南側岸壁の延伸整備に伴う船舶給水設備の設計に着手し、更なる水揚増強対策を推進してまいります。
 また、水産加工事業者の経営安定化や人材確保等を図るため、事業者が行う加工原魚の魚種転換や、デジタル技術を活用した業務システムによる生産・販売・在庫管理の効率化などを支援してまいります。

 農業につきましては、典型的な中山間地域の地理的条件の下、水田農業や、高収益作物、畜産等による複合型農業生産を中心に展開されておりますが、遊休農地の増加、農業従事者の減少や高齢化の進行等による労働力の低下、シカ等野生鳥獣による被害などの問題が一層深刻化しており、その対応が求められております。
 このことから、大船渡市農業振興基本計画に掲げる基本目標「魅力ある農業の推進」に向け、農地の保全と活用、農業経営の安定化や担い手の育成・確保に向けた支援などの諸施策を推進してまいります。
 
 シカ等野生鳥獣による農作物の被害対策につきましては、有害捕獲のほか、電気柵等の設置支援による侵入防止対策、地域ぐるみの刈払い等による生息環境管理など、被害対策の三本柱を基本としながら、関係機関と連携し、拡大する被害の対策強化に努めてまいります。

 市の花である椿の利活用につきましては、つばきまつりの開催や地域おこし協力隊による市内小中学校における椿学習など、市内外の関係者と連携しながら情報発信を継続するとともに、令和7年度の「全国椿サミット大船渡大会」の開催を目指した取組を進め、椿文化の継承、交流促進及び大会開催に向けた機運の醸成を図ってまいります。

 林業につきましては、林業従事者の担い手不足や事業の採算性から、手入れが行き届いていない森林が増加していることに加え、森林病害虫などによる被害の拡大などの問題が生じております。
 このことから、森林環境譲与税等を有効に活用しながら、木材利用の促進、普及啓発等の事業を実施するとともに、森林所有者の意向と森林の状況に応じて、意欲と能力のある林業経営体への再委託や市における間伐などにより、適切な森林管理に係る支援を実施してまいります。
 また、鹿の森公園など林業振興施設の運営に当たっては、指定管理者と連携を深めながら、更なる事業の健全化に取り組んでまいります。

 商業につきましては、コロナ禍からの社会経済活動が正常化の兆しを見せ始めている一方で、エネルギー価格を始めとした物価高騰等の影響により、中小企業及び個人事業主を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、引き続き大船渡商工会議所を始めとした関係団体と連携しながら、中小企業者の事業継続や経営力強化、経営の安定化を図るための支援などを実施してまいります。
 また、商店街などで起業・第二創業する事業者に対して、店舗改装費などの費用の一部を補助しながら、空き店舗の有効活用と起業の促進、商店街のにぎわいの創出を図ってまいります。

 大船渡駅周辺地区においては、当地区のエリアマネジメントの推進主体である株式会社キャッセン大船渡への支援や、官民協働の取組を継続するとともに、大船渡市防災観光交流センターの有効活用に向けた取組を通じて、交流促進、市民活動の活性化を図り、にぎわいのある魅力的なまちづくりに努めてまいります。
 
 観光につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、本市への来訪者が回復傾向にありますことから、市や観光関連団体などで構成する大船渡市観光ビジョン推進委員会において、同ビジョンに掲げる各施策の実施状況や効果などの評価・検証を行いながら、より一層実効性のある施策を実施してまいります。
 具体的には、本市の重要な観光資源と位置付けている「食」の魅力を高める取組の実施を始め、各種体験プログラムの磨き上げやクルーズ客船の誘致などを進めるとともに、関係団体との連携の下、誘客の取組を進めてまいります。
 また、本格的な回復が見込まれるインバウンド需要を取り込むため、岩手県や住田町、関係機関などと連携しながら、台湾で実施したプロモーションの分析と検証を深めるとともに、みちのく潮風トレイルなど海外に人気のコンテンツの有効な活用を通じて外国人観光客の誘致拡大を図ってまいります。

 都市間連携につきましては、銀河連邦を構成する自治体を始め、友好都市協定を締結している山形県最上町や他の友好自治体との間において、これまで築いてきた交流を発展させながら、本市の更なる魅力発信を通じて、交流人口の拡大を図ってまいります。

 移住・定住の促進につきましては、コロナ禍以降、働き方の多様化による地方移住への関心が高まっていることから、移住コーディネーターの配置により、移住希望者が、仕事や住まい、生活などといった移住に必要な情報に容易にアクセスできる環境整備や、移住前から定住に至るまでのフォロー体制も含めた相談体制の充実に努めてまいります。
 また、お試し移住体験ツアーの開催や、移住体験住宅の整備により、短期移住や多地域移住など、多様な移住スタイルに対応するための取組を行ってまいります。
 
 つぎに、地場企業の振興につきましては、デジタル化の推進による産業人材の育成、企業の経営安定化や生産性の向上に資する取組などを継続的に推進していく必要があると考えております。
 このことから、大船渡市デジタル田園都市国家構想総合戦略の推進に向け、起業や第二創業などに関心がある個人・事業者に対し、経営相談や起業セミナーなどを通じた伴走型支援を行うとともに、次世代の地域経済を支える人材の確保と育成を図る取組として、大船渡商工会議所が中小企業の事業主や社員などを対象に開催する大船渡ビジネスアカデミーを支援してまいります。
 また、地場企業の研究開発機能の強化及び技術力の向上を図るため、市内事業者が大学等と共同で実施する研究・開発事業に対する支援を実施するほか、地域の農林水産物を活用した加工品等の開発など新たな事業展開への支援を継続して実施し、地場企業の活性化を図ってまいります。
 さらに、地場企業の高付加価値化や競争力強化、地域特性などを生かした新たな産業の創出を図るため、市内における工場などの新増設に対し、各種補助制度により支援するほか、岩手県や関係団体などと連携しながら企業のニーズなどの情報収集に努め、幅広い業種の企業誘致に取り組んでまいります。

 雇用環境につきましては、生産年齢人口の減少、新規高等学校卒業者数の減少に加え、進学などにより気仙管内の高校生の約9割が管外へ流出している状況にあり、地域産業を支える若者の確保は喫緊の課題となっております。
 このことから、新規高等学校卒業者の地元就職の促進と職場への定着化、U・I・Jターンを促進するため、市内事業所に就職した新規学卒者や、奨学金を返還する方などへの支援を実施してまいります。
 また、関係機関・団体との連携を強化して、女性及び高齢者の就労機会の創出・確保を図るとともに、気仙高等職業訓練校での認定職業訓練や、求職者の資格取得に係る支援など、労働者の職業能力の向上に資する取組を実施してまいります。
 さらに、岩手県と共同して、市内企業を含む県登録事業者に就業又は新たに起業した方等のうち、一定の条件を満たす東京圏からの移住者に対して、移住支援金を交付することにより、移住に係る経済的負担を軽減させながら、本市への移住・定住の促進及び中小企業の人手不足の解消に努めてまいります。