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施政方針 1 豊かな市民生活を実現する産業の振興


 産業振興につきましては、地域経済の活性化による市民所得の向上や雇用の場の確保による人口の定着化など、持続可能な地域社会を構築する上で、大きな推進力となるものであります。

 このことから、第2期大船渡市まち・ひと・しごと創生総合戦略の着実な推進を基本に、既存産業の振興はもとより、地域の特性をいかした新たな産業の育成、起業や第二創業の支援などを推進してまいります。

 国際リニアコライダー(ILC)につきましては、岩手県、関係自治体、大学などで構成する東北ILC事業推進センターに加え、岩手県南及び宮城県北の自治体を中心に、このほど設立された「ILC実現建設地域期成同盟会」に参画し、早期の誘致・実現に向け、国への要望活動や機運醸成、研究者との積極的な意見交換などに連携して取り組むとともに、市といたしましても、大船渡市ILCアクションプランにおける各種取組を進めてまいります。

 水産業につきましては、海洋環境の変化などによる水産資源の減少、漁業者の高齢化や担い手の減少に加え、依然として続くサンマやサケなど主要魚種の記録的な不漁、貝毒によるホタテガイの出荷規制の長期化や磯焼けの拡大など非常に厳しい状況にあります。

 こうしたことから、大船渡市水産業振興計画に基づき、水産業の持続的な発展に向け、各種取組の充実・強化を図るとともに、水産資源を安定的に確保するため、科学的で合理的な水産資源の管理をより一層推進するよう国や関係機関に対して引き続き働き掛けてまいります。

 持続可能な漁業の推進につきましては、市内漁業協同組合などが行うアワビの増殖やサケ、ヒラメの放流などつくり育てる漁業の推進を支援し、漁業資源の確保に努めてまいります。

 また、藻場の再生活動などの磯焼け対策や漁場海域の漂流・漂着ごみなどの回収、処理により、生産性の向上や漁場環境の保全を図ってまいります。

 さらに、漁業者の所得向上や加工事業者の原材料確保に資するため、市内漁業協同組合が行う新たな養殖種の導入や実証試験などに対する支援を実施してまいります。

 漁港などの整備につきましては、震災後、復旧した漁港・海岸施設などの機能が十分に発揮されるよう適切な維持・管理を計画的に実施するとともに、三陸町綾里地内におきまして、雨水排水施設の改修や漁業集落道整備に係る測量及び設計を実施し、生活環境の基盤整備を推進してまいります。

 水産加工・流通機能の強化につきましては、大船渡市魚市場への漁船誘致活動をより積極的に展開し、魚介類の安定供給を図るとともに、水産加工事業者が行う加工原魚の魚種転換や新たなデジタル技術を活用した商品の開発、生産・販売・管理の効率化などを支援してまいります。

 また、水産加工業の人材確保に必要な受入れ環境を整備するため、事業者が行う女性の働きやすい職場環境の改善に向けた支援を継続してまいります。

 農業につきましては、典型的な中山間地域の地理的条件の下、農業従事者の減少や高齢化の進行などによる労働力の低下、農業所得の伸び悩み、シカなど野生鳥獣による被害の深刻化、遊休農地の増加に加え、今般の肥料飼料価格の高騰など本市の農業を取り巻く環境は、一層、厳しい状況となっております。​

 こうしたことから、大船渡市農業振興基本計画に基づき、魅力ある農業の推進を基本目標に、農地の保全と活用、農業経営の安定支援、担い手の育成・確保に資する諸施策を推進してまいります。

 市の花である椿の利活用につきましては、地域おこし協力隊制度を活用しながら、市内小中学校における椿学習、椿を利用した商品開発支援を行うとともに、つばきまつりの開催などを通じて、本市の知名度及び地域ブランド力の向上を図り、交流人口の拡大につなげてまいります。

 林業につきましては、担い手不足や事業採算性の確保などの関係から、手入れが行き届いていない森林の増加、加えて森林病害虫などによる被害が深刻化しております。

 こうしたことから、市内の私有林などの適切な管理に向けて、森林所有者への意向調査を行い、森林の状況に応じて、意欲と能力のある経営体への再委託や市による間伐などを実施してまいります。

 鳥獣被害対策につきましては、シカ、クマによる被害に加え、近年、サルの生息域が拡大しているほか、イノシシによる被害も確認されていることから、地域ぐるみの刈払いや防御網及び電気柵の普及促進、大船渡市鳥獣被害対策実施隊による有害捕獲などの取組に加え、モンキードッグの試行導入など、野生鳥獣による農林業被害の防止対策を強化してまいります。

 商業につきましては、コロナ禍の長期化、物価高騰などの影響により、中小企業や個人事業主において、厳しい経営環境が続いております。

 こうした状況を踏まえ、引き続き大船渡商工会議所を始めとした関係団体と連携しながら、中小企業者の事業継続や経営力強化、経営の安定化を図るための支援などを実施してまいります。

 また、商店街などで起業・第二創業する事業者に対して、店舗改装費などの費用の一部を補助しながら、空き店舗の有効活用と起業の促進、商店街の活性化を図ってまいります。

 大船渡駅周辺地区においては、当地区のエリアマネジメントの推進母体である株式会社キャッセン大船渡への支援や、良好な市街地景観形成に向けた取組を継続するとともに、大船渡市防災観光交流センターと商店街エリアなどとの連携により、交流促進、市民活動の活性化を図り、魅力とにぎわいある中心市街地の形成に努めてまいります。

 観光につきましては、宿泊、飲食や物販など、幅広い分野への経済的な波及効果が大きく、観光地としての魅力づくりに力を入れて取り組む必要があります。

 このことから、海の幸を中心とする食の魅力創造とPR、三陸ジオパークを始めとした地域資源の活用、みなとオアシスおおふなとを生かした中心市街地への周遊促進やクルーズ客船の誘致などを通じて、観光誘客を図り、市内での滞在時間の延長につなげるなど、関係団体や観光関連事業者と連携を深めながら観光振興に取り組んでまいります。

 また、本市と住田町を圏域とするPR動画や外国語版観光パンフレットを活用して、台湾での観光プロモーションを行うなどアフターコロナを見据えながら、外国人観光客の受入体制の充実を図ってまいります。

 さらに、これらの取組について、市や観光関連団体で構成する大船渡市観光ビジョン推進委員会において、同ビジョンの進捗管理を行いながら、実効性のある施策の実施に努めてまいります。

 都市間連携につきましては、銀河連邦を構成する自治体を始め、友好都市協定を締結している山形県最上町や他の友好自治体との間において、物産展などでの地場産品を介した経済交流や観光PRを通じて交流人口の拡大を図ってまいります。

 移住・定住の促進につきましては、コロナ禍における地方移住への関心が高まっていることから、移住コーディネーターの配置により、移住希望者への情報発信や相談体制を強化させながら各種取組を展開してまいります。

 また、民間企業によるテレワークやワーケーションなど、多様な働き方を通じた関係人口の創出を図るため、短期移住や複数地域を居住地とする様々な暮らし方への対応についても研究してまいります。

 次に、地場産業の振興につきましては、地域経済の持続的な発展を図るため、将来を担う産業人材の育成や、既存企業の経営安定化及び向上に資する多様な取組を引き続き推進していかなければならないと考えております。

 このことから、第2期大船渡市まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進に向け、起業や第二創業などに関心がある個人や事業者に対し、個別相談や起業セミナーなどを通じた伴走型支援を行うとともに、産業振興に資する人材の確保と育成を図る取組として、大船渡商工会議所が中小企業の事業主などを対象に開催する「大船渡ビジネスアカデミー」を支援してまいります。

 また、地場企業の研究・開発機能の強化及び技術力の向上を促進するため、市内企業などが大学等と共同で実施する研究・開発事業に対する支援を実施するほか、地域の農林水産物を活用した加工品等の開発などへの支援を継続して実施し、地場産業の活性化を図ってまいります。

 さらに、地場企業の製造品などの高付加価値化や競争力強化、地域特性をいかした新たな産業の創出を図るため、誘致企業や市内企業における工場などの新増設に対し、各種補助制度を活用し支援するほか、岩手県や関係団体などと連携しながら、幅広い業種の企業誘致に取り組んでまいります。

 雇用環境につきましては、生産年齢人口の減少に加え、進学などにより気仙管内の新規高等学校卒業者の約8割が管外へ流出している状況にあります。

 このことから、新規高等学校卒業者の地元就職の促進と職場への定着化、U・I・Jターンを促進するため、市内事業所に就職した新規学卒者などに対する就職奨励金の交付や、奨学金を返還する方への新たな支援を実施してまいります。

 また、関係機関・団体との連携を強化して、女性や高齢者の就労機会の創出・確保を図るとともに、気仙高等職業訓練校での認定職業訓練や、求職者の資格取得に向けた技能講習など、労働者の職業能力の向上に資する支援を実施してまいります。

 さらに、岩手県と共同して、市内企業に就業又は新たに起業した方のうち、一定の条件を満たす東京圏からの移住者に対して、移住支援金を交付することにより、本市への移住・定住の促進及び中小企業の人手不足の解消に努めてまいります。