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更新日:2019年04月02日

国際リニアコライダー(ILC)とは

International:インターナショナル(国際的な)
Linear:リニア(直線の)
Collider:コライダー(衝突型加速器)
頭文字をとって「ILC」と呼んでいます。
ILCは世界に一つだけつくろうという国際プロジェクトです。
電子と陽電子を光速に近い速度まで加速させ、正面衝突させることで、ビッグバンの直後に起きた素粒子の反応を人為的に再現させることにより、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎等、様々な科学の謎に迫る実験装置です。
現在は、海抜約110mの位置に、総延長20kmでの地下トンネルの建設を検討しており、将来的に延伸することを想定しています。

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ILCでわかること

電子と陽電子を衝突させると、電子と陽電子は消滅し、「ヒッグス粒子」をはじめとして様々な粒子が現れます。その粒子を観測することにより、どのようにして宇宙が誕生し、物質が誕生したのかという謎に迫ることができます。
現在、宇宙を構成しているもののうち、解明されているのは、全体の約4%にすぎません。
残り96%のうち、23%は光では見えない「暗黒物質(ダークマター)」、73%は宇宙を加速度的に膨張させる「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」と考えられています。
ILCはその正体を探る研究です。

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ILCはどこにできる?

世界においては、日本が最有力建設候補地とされており、また、平成25年に国内の物理学者等で構成されるILC戦略会議の立地評価会議において、日本への誘致が決定した場合は、研究施設の国内建設候補地を「北上山地」とすることとされました。
ILCの実験で衝突させる電子と陽電子は、目に見えない非常に小さな粒子のため、正確に衝突させるためには、振動が少ない固い地盤が必要です。
奥州市から一関市にかけての北上山地の地下には、およそ50kmにも及ぶ広大な範囲にわたり非常に固い「花崗岩」の岩盤が広がっており、活断層もなく、また、大船渡港をはじめとした重要港湾からのアクセスもよいことから、ILCの建設地として最適とされています。

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ILCはいつできる?

平成31年3月7日に国からILCに関する関心表明がなされ、今後、国内及び海外において協議・調整等があるものと想定されます。
ILCの誘致が決定した後は、準備に約4年、建設・調整等に約9年間を要し、2030年代での稼働開始が想定されています。

ILC実現により当市に想定される波及効果

  • 施設・設備等の建築資材や研究機器の搬入に伴う大船渡港の活用
  • 研究者やその家族の当市への来訪、移住等による交流・居住人口の増加
  • 通勤可能な距離であるので、研究施設や関連施設での雇用
  • 多文化が共生する国際都市圏が形成され、多様な文化に触れることができる等、教育・文化分野における効果

用語解説

陽電子

電子の反粒子のこと。陽電子は電子と同じ質量を持ちますが、マイナスの電荷を持つ電子とは逆のプラスの電荷を持っています。

ビッグバン

宇宙誕生の1兆分の1秒後に起きたとされる大爆発のこと。ビッグバン理論は、今から約137億年前に起こった爆発によってこの宇宙が始まり、引き続く宇宙膨張の中で、素粒子や原子、分子、星、銀河が創られたという理論。

ヒッグス粒子

宇宙を満たしており、素粒子に質量を与えると考えられている粒子。ビッグバンの直後にあらゆる粒子は質量を持っていませんでしたが、宇宙が膨張し、冷えた段階でヒッグス場の海が形成され、素粒子はその海の抵抗を受けて動きにくくなり、その動きにくさが質量につながったと考えられています。

暗黒物質(ダークマター)

光も電波も発することがないため、「目には見えない物質」。天文観測において、銀河の回転速度から、その銀河の質量を計算することができます。また、明るさのある銀河は、見えている情報から質量を算出することができます。宇宙が目に見えている物質だけで構成されているとすると両者の質量は一致するはずですが、回転速度から算出した質量のほうが、見えている情報から算出した質量よりもはるかに大きいことから、間接的に「見えない物質」があることがわかっています。

暗黒エネルギー(ダークエネルギー)

宇宙の大部分を占めるダークエネルギーは、宇宙がどんどんスピードを上げながら膨張している事象を引き起こす要因と考えられている謎のエネルギーです。