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更新日:2024年02月16日
産業振興につきましては、市政運営の基幹、かつ、重点となる施策であり、あらゆる施策展開を支え、その「前提」ともなることから、とりわけ重視しているところであります。
ここで、国際リニアコライダー(ILC)について述べさせていただきます。
ILCの施設整備による波及効果につきましては、産業分野のみならず、建設資機材や研究機器の搬送・荷役などでの活用が想定される国道107号・397号及び大船渡港の改良・機能強化との相乗作用により、多方面に及ぶとともに、より大きくなると考えられます。
昨今、次期大型加速器建設に係る新たな世界的な動きが顕在化する中にあって、日本政府のILC実現に向けた意思表示への残された時間は少なくなっており、令和6年度から令和7年度にかけてが、その山場とされるなど、現在、非常に大切な時期にあると捉えております。
このことから、こうした機を逃すことなく、市内外のILCに対する関心と理解を一層高めながら、ILCが早期に実現するよう、岩手県や関係機関・団体、ひいては「オール岩手」の態勢により、要望や受入環境整備に係る活動などに精力的に臨んでまいります。
また、産業振興におきましては、大船渡市デジタル田園都市国家構想総合戦略の推進を基本としながら、「地場企業の育成と経営支援」、「産業の新展開や起業支援」などの充実に向け、チャレンジができる環境づくりとそれを担う人材の育成に意を配し、市の組織再編による一元的な対応を強化した上で、各般の取組を積極的に展開してまいります。
地場企業の振興に関しましては、「経営の安定」や「生産性の向上」「挑戦志向の企業と人材への支援」、「地域資源の活用」、「デジタル化の促進」などの課題を踏まえた対応が必要と認識しております。
このことから、産業支援コーディネーターを中心として、国の地域活性化起業人制度による専門家の登用も図りながら、起業や第二創業、事業拡大、事業承継などに資する取組を伴走型により支援してまいります。
この中で、中小企業者等経営強化法に基づく経営革新計画などによる、新たな事業活動や経営力向上を図る取組を対象とした、ビジネス拡大支援事業を新たに実施いたします。
このほかにも、これまでの大船渡ビジネスアカデミーなどの次世代経営人材を育成する取組、市内事業者による大学や研究機関との共同研究・開発に係る事業、中小事業者による地域農林水産物を活用した新たな展開などに対しても、状況に応じた支援を行ってまいります。
さらに、市内における工場などの新増設に対し、各種助成制度の活用により支援するとともに、企業立地動向に関する調査により情報を収集し、企業誘致活動に取り組むことなどにより、地場産業全体の競争力強化による付加価値向上を促すなど、より一層の底上げを図ってまいります。
また、こうした取組との連動も意識しながら、人材確保の有効な方策となる雇用環境の改善などにも対応する必要があることから、特に若者や女性に対する取組に意を配しつつ、市内事業所に就職した新規学卒者やU・I・Jターン者、奨学金を返還される方などへの支援を継続いたします。
水産業につきましては、海洋環境の変化などにより、サケを始め、サンマやスルメイカなど主要魚種の不漁傾向が深刻化しているほか、異常高水温による養殖生産物のへい死や成長障害、貝毒によるホタテガイの出荷規制の長期化、急潮による定置網の破損被害といった事態が発生しております。
こうしたことは、漁業経営はもとより、水産加工業など関連産業における大きな不安要因になるなど、水産業をめぐる状況は、大変厳しいものと捉えております。
このことから、令和7年度が終期となる大船渡市水産業振興計画に基づき、各般の取組の充実・強化を図るとともに、次期計画策定を視野に入れながら、地域資源を生かした「海業」の推進に努めてまいります。
持続可能な漁業の推進につきましては、科学的で合理的な水産資源の管理をより一層推進するよう、国などに対する働き掛けを継続してまいります。
また、東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水放出に係る対応に関しましては、日本産水産物の禁輸措置解除に向けた国家間合意の即時履行、損害賠償の迅速かつ適切な実施などについて、岩手県や関係する自治体・団体などと連携しながら、国及び東京電力ホールディングス株式会社に対し、早急に対応するよう求めてまいります。
地場漁業の生産力の向上に関しましては、市内沿海漁業協同組合などが行う、つくり育てる漁業に関連したアワビやナマコの種苗放流、サケやヒラメの稚魚放流などのほか、磯焼けした藻場の再生など、漁業資源の確保と漁場保全に係る取組を支援してまいります。
漁業経営の安定化につきましては、市内漁業協同組合と連携しながら、アサリなど新たな養殖種の実証試験と生産物のPRに対する支援を始め、漁業者の所得向上、漁業就業者の確保・育成などに資する取組を着実に実施してまいります。
漁港などの基盤整備につきましては、防波堤や船揚場、漁業集落道などに関する事業を計画的に推進してまいります。
水産加工・流通機能の強化につきましては、大船渡市魚市場への水揚魚種の変動状況を注視しながら、漁船誘致活動を積極的に展開するとともに、岩手県が進めている魚市場南側係船岸壁の延伸工事に合わせて船舶給水施設整備工事を実施し、水揚げの増強を図ってまいります。
また、水産加工事業者の経営安定化などに向け、事業者による加工原魚の魚種転換の拡充や、在庫管理システムの構築などデジタルトランスフォーメーションの取組を一層支援してまいります。
農業につきましては、中山間地域特有の地理的条件の下、各種の経営が行われておりますが、農業従事者の減少や高齢化、野生鳥獣による被害の拡大などによる労働力や生産性の低下など、取り巻く環境は、一層厳しさを増しております。
このことから、大船渡市農業振興基本計画に基づき、その対策を講じる中で、労働力不足の解消や生産性向上に資する施策の一環として、農業用ドローンなどの購入関連費用の一部を助成する、スマート農業機器導入支援事業を新たに実施いたします。
また、シカやサル、イノシシなど野生鳥獣による農作物被害に対しましては、報償費の増額などにより有害捕獲の充実に努めるほか、設置助成制度を拡充する電気柵などによる侵入防止対策、地域ぐるみの生息環境管理など、被害対策の三本柱を基本としながら、対策の強化を図ってまいります。
市の花である椿に関しましては、令和8年3月の「全国椿サミット大船渡大会」の開催に向けて、椿文化の継承はもとより、観光振興や交流促進による本市の活性化に寄与すべく、市内の関連する取組とも連携しながら、機運の醸成を図ってまいります。
林業につきましては、森林の多面的機能が重視される一方で、放置・荒廃化する森林の増加や病害虫などによる被害の拡大などが課題となっております。
このことから、森林環境譲与税などを有効に活用し、森林所有者の意向に応じて、意欲と能力のある林業経営体や市による適切な森林管理を推進するほか、病害虫被害木の撤去に係る支援などを実施してまいります。
商業につきましては、物価高騰の影響によりコストが増加するなど、その経営環境は、依然として厳しい状況にあることから、大船渡商工会議所などと連携しながら、事業の継続や経営の安定・強化に係る支援などを実施してまいります。
また、商店街などにおいてにぎわいを創出するため、空き店舗や空き家及び空き地を活用して起業などをする事業者に対し、改装などの費用の一部を助成いたします。
大船渡駅周辺地区におきましては、エリアマネジメントの役割を担う株式会社キャッセン大船渡と連携しつつ、防潮堤や公園を活用した取組などに対して支援するとともに、大船渡市防災観光交流センターの利便性向上を図りながら、交流やにぎわいが増し、魅力が向上するようなまちづくりに注力してまいります。
観光につきましては、インバウンドを含め、本市への来訪者が増加傾向にあるなど、全体的に回復基調にある中で、こうした状況を追い風とし、登録観光地域づくり法人・登録DMOなど関係団体とも連携しながら、多くの関係者が一体となって、大船渡市観光ビジョンに基づく実践的な取組を実施してまいります。
具体的には、インバウンド需要の取り込み拡大を図るため、定住自立圏域の取組として、住田町と共に、台湾からの来訪者を始めとした外国人向けのプロモーション活動を推進するとともに、認知度と人気が高まりつつある「みちのく潮風トレイル」に関連した取組にも、積極的に対応してまいります。
また、本市の主要な観光資源である「食」の魅力向上や碁石海岸など観光地の環境整備、クルーズ客船の誘致などにも配意し、本市への誘客を促しながら、新たに市内外の観光関連団体などが有するデータを収集・分析し、観光施策に生かす事業にも取り組んでまいります。
都市間連携につきましては、EXPO2025大阪・関西万博へブースを共同出展する銀河連邦構成自治体間を始め、友好都市協定を締結している山形県最上町や他の友好自治体との交流・連携をより深化させながら、多分野における相互の活性化を図ってまいります。
移住・定住の促進につきましては、本市への「ヒト」の流れを生み出す施策の一環として拡充する必要があることから、移住コーディネーターを中心として、移住希望者に寄り添うスタイルによる相談・支援体制を強化してまいります。
具体的には、民間のノウハウを活用しながら、引き続き移住前後における丁寧な相談対応はもとより、移住体験住宅の運営や移住体験ツアーの開催、移住者と地域居住者とのコミュニティ形成支援などに、より積極的に取り組んでまいります。