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更新日:2025年09月02日
1 はじめに
令和7年2月26日に本市で発生した林野火災による被害は、平成以降、国内最大規模の延焼範囲となる約3,370haに達したほか、人的被害が死者1名、家屋被害が全壊、半壊等226棟に及びました。
また、産業等につきましては、森林被害を始め、農林水産業の施設や資器材の焼失、事業活動の中断に伴う売上減少など、被害は多方面にわたっています。
市では、極めて甚大な被害となった今回の災害からの復旧・復興を効率的かつ迅速に実施していくため、復旧・復興に係る事業を計画的に展開しており、その進捗状況や今後の実施スケジュールについて広く周知を図るものです。
2 取組方針
⑴ 暮らしの再建・なりわいの再生
- 被災者等が被災前の生活を迅速かつ着実に取り戻せるよう、復旧事業を基本としています。
- 事業活動の中断や売上減少といった間接的な影響については、個別の休業補償などの制度がなく実施は困難なことから、地域経済の回復につながる取組を検討します。
- 事業の検討に当たっては、地区等からの要望や課題に可能な限り対応しています。
⑵ 被災森林の整備
- 天然林は自然の回復力を利用します。
- 人工林は林地再生対策協議会などにおいて、様々な樹種から構成される多様な森林づくりや脱炭素に資する取組なども検討し、森林の価値を再興させます。
⑶ 災害予防対策の検討・実施
- 今回の林野火災のような災害を再び発生させないよう、災害予防強化策など具体策を検討、実施します。
3 事業の実施状況及び今後の展開
⑴ 暮らしの再建
災害廃棄物処理事業
暮らしの再建やなりわい再生を円滑に進めるため、被災した住宅等の災害廃棄物の収集・処理を令和7年12月末の完了を目標に実施しています。
住宅の再建(新築、補修等)
被災者向けに支援メニューを準備し、その周知を図っています。
また、9月をめどに改めて再建方法等についての意向調査を実施し、ニーズに即した支援を検討します。
被災者、児童生徒等への心のケア
被災者の不安や孤立を防ぐため、建設型応急仮設住宅の供与が終了するまでの間、見守り活動や相談体制の強化を図るとともに、スクールカウンセラーによる児童生徒の様子の把握やカウンセリング等を実施しています。
テレビ共同受信施設の本復旧への支援
被災したテレビ共同受信施設については、仮復旧により当面の視聴が可能となっていますが、地上デジタル放送の安定的な視聴環境の確保を図るため、地元関係者及び施設管理事業者等と連携しながら、本復旧に向けた支援を実施します。
⑵ なりわいの再生
水産業、農業、中小事業者等の焼損した施設・機械等の復旧支援
農林漁業者や中小事業者等のなりわいの再生を図るため、被災した施設や機械設備等の復旧を令和7年度末まで実施します。
特に、農林水産業においては、作付け、養生、収穫、加工といった作業の時期が決まっていることから、年間の生産サイクルに遅れが生じることがないよう実施しています。
なお、事業期間については、復旧の状況や支援の妥当性を踏まえ、必要に応じて令和8年度までの延長を検討します。
林野火災に伴う影響(観光業のキャンセル等)への支援
予約キャンセルや来訪者の減少などの影響を踏まえ、観光需要の喚起を図る事業を実施しています。
また、地域の魅力を発信し、被災事業者の経済活動の再生に資する取組を検討します。
⑶ 森林の早期復旧
森林災害復旧事業等による森林の再生
水源涵養や環境保全、土砂災害防止など森林の持つ多面的機能を回復させるため、多様な樹種の植林や脱炭素の取組などを検討しながら、森林の復旧を進めます。
また、行政に加え、民間企業や団体の社会貢献活動による植林などを受け入れ、多様な主体による再生が進むよう取り組みます。
※森林災害復旧事業については、令和7年3月28日付けで激甚災害として指定のあった区域内(令和7年2月19日及び2月26日に発生した林野火災(延焼面積合計約3,694ha))を対象として実施することとします。
治山・砂防事業による二次被害等の防止及び応急対応
土砂災害の防止や二次災害の抑制に向けた治山・砂防事業については、岩手県が事業主体となり、市内29か所で大型の土のうを設置する応急工事が完了しています。さらに、14か所で治山ダムや砂防堰堤等の整備が進められることになっています。
市としても、事業が円滑に進むよう地域との調整を図りながら、岩手県と一体となって事業を進めていきます。
⑷ 災害予防の強化
国による「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」や、県による「火災警報に関する検討会」の内容を十分に参考としながら、市としての火災予防の強化に係る方策等について検討を始めています。
4 主な事業スケジュール
5 事業の推進に向けて
⑴ 事業の進行管理等
林野火災対策局を中心に、関係部署が連携しながら、復旧・復興関連事業を着実に推進します。
また、令和7年大船渡市大規模林野火災復旧・復興推進本部において、被災者等の支援事業の進行状況や課題などを確認するとともに、支援制度や事業の進捗などの情報について、市ホームページ等を通じて、市内外に積極的に発信します。
⑵ 国、県への要望等
早期の復旧・復興の実現に向け、制度運用の課題や新たな支援ニーズについて、国や県に対して必要な働き掛けを行っています。